帯広市
むかしむかし、ここに住んでたような気がするのは気のせいかな。なんだか隣の人の顔まで思い浮かぶんだけど、やっぱ気のせいかな。セイさんというヒゲの濃いいつも冬でもランニングシャツの色黒のおじさんなんですけど。大工さんだったような記憶があります。家の前で何かを作っている姿を覚えています。口に釘を含む姿がやたらに格好良くて、ボクの幼稚園の卒園アルバムには、将来の夢として「だいくさん」としっかり書いてあります。でも間違いなくここのアパートであったかと問われれば明確な返答をボクは持ち合わせてはいません。ここは帯広。ボクの幼稚園は清水町でしたから。でも生まれは帯広。もしかしたら幼稚園にあがる前の記憶を辿っているのだろうか。近所に住んでいたはずの床屋のトコヤンはげんきだろうか。歩いても歩いても床屋にはたどり着かなかったけど大きな通りでひかれた犬の思い出は鮮明に蘇ってきました。清掃作業員が持って行きました。あの頃の思い出はモノクローム色だけど、赤色だけが滲んでいるけども思い出せるのはトラウマというやつなんだろうか。エントマンの腕がもぎれたのもそうなんだろうか。そんなことが頭の中でグルグルした日でした。